「こんにちは!」と日本好きのマーケティング担当のミカエルさんが日本語で出迎えてくれました。
今回はフレデリック・フェリの醸造責任者であるロランスさんにお話を聞きました。
ロランスさんは、論理的で、控えめ、そして知性を感じさせるエノログです。
ミカエルさん、ロランスさんのお二人からもドメーヌの雰囲気がの良さが伝わってきました。
『2021年はテロワールの特徴を感じる年。』
(以下ロランス氏)
2021年は大きな霜の被害があったという意味で、とても厳しい年でした。
日照量が少ないために植物の発育に影響し、病害に対しての耐性が十分ではありませんでした。収穫量は全体で60%ほど減りました。
シャサーニュ・モンラッシェやムルソーの白は特に被害が大きかったですが、赤ワインの被害は40%ほどにとどまりました。
より良い健康的なぶどうを選び出すため、この年は特別に慎重に選果作業を時間をかけて行いました。
また通年よりもブドウ自体が熟するまでに収穫を待つ必要があり、ワインの色合いは2020年や2022年に比るとエレガントなスタイルです。
味わいはフルーティーで濃すぎず、繊細さのある飲みやすい年だと思います。そうですね、2016年や2013年に似ています。
テロワールの特徴を感じる年で、石灰質の土壌ではよりシャープな酸味、粘土質の土壌ではより渋みを感じます。
– 最新ヴィンテージ、2022年の感触は?
(ロランス氏)
現段階ではまだ慎重に観察している段階なのですが、おもしろい年ですね。
収量を十分に得られましたし、収穫時期が早すぎず、また2021年のように遅くもなくブドウの熟度についても、バランスに優れたいい年でした。
今の所の感じでは、リッチで十分な日照量のあった2020年に似ています。
またやや暑かった2018年にも似ていて、長期熟成に耐えうる年だと期待できます。
– 温暖化における課題とは?
(ロランス氏)
乾燥や暑さは課題の一つで、畑の仕立てる高さであるとか、葉っぱの量をコントロールしていく必要があります。
今はそういった対策を少しづつ真剣に考え始めなければいけない段階で、実際にブドウの木の台木なども、より暑さや乾燥に強い種類のものが出てきているので、それらを試してみたりなどしています。
乾燥などが収量量にダイレクトに影響してくるし、考えて対策すべきことは結構ありますね。
そんな中でも10年後もできる限り自分が素晴らしいと思えるワインを醸造していたいですね。
-ドメーヌのスタイルを表現するために
2017年からこちらで働き始めるにあたり変えたことがありますが、まず温度管理を正確できるようにしました。
以前はタンク内の温度管理が十分なものではありませんでした。それらを正しく管理できるものを導入しました。
また樽はメーカーや焼き具合を選りすぐり、以前より樽からの影響を少なくすることにしました。。
収穫したブドウの受け入れ体制なども重視し、収穫時に使用するぶどうを入れるケースは以前の60キロのものからより小さなケースに変え、収穫時のブドウへのダメージを極力なくすようにしました。
私にとって、それら全てはドメーヌの「スタイル」を正しく表現するワインを造るために大切なことです。
-ご自身のワインとのベストマリアージュを教えて下さい
サヴィニィ・レ・ボーヌ・ルージュと鳩のローストも相性バッチリでしたし、それから軽く火入れした仔牛とモレ・サン・ドニもとても相性が良かったですね。
ボーヌのレストランでは私たちのワインを扱っているいいレストランがたくさんあるので、色々な組み合わせを楽しめますよ!行ってみてくださいね。
-日本の印象はいかがですか?
この辺りに住んでいるフランス人でもアペラシオンって難しい、テロワールってなんなの?っていう感じの人も多い中、日本の方はワインについて、本当によく知っていて、パッションを持っているのがとても印象的です。
きっちりと、正確なテイスティングをしますよね。また、よく知っているけれど、それでいてエチケットやアペラシオンの知名度には惑わされず、そのワインの本質を判断するというイメージがあります。それって真にワインを知っている人だと思います。
インタビューの最後にワイン造りにおいて影響を受けた人などがいるのかを伺うと、「強いていえばテロワールでしょうか。
アペラシオンごとに、ワインから正しく個性や情報を読み取って表現するのがエノログの仕事ですから、そういう意味では、それぞれのぶどうが持つバックボーンであるテロワールが私のワインづくりに影響を与えています。」という答えが返ってきました。
ブルゴーニュワインの長い歴史の中で、先人たちが守ってきた伝統や精神を受けつぎつつ、気候変動や現在の変化を察知し、新しいものを取り入れていくことが1本の素晴らしいワインにつながっているということをロランスさんから教わることができた訪問でした。
それでは次回の訪問もお楽しみに!
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